◆コラム ええじゃないか千秋楽
 若林哲治の土俵百景

今年2度目の幕尻優勝

 7月場所が何とか千秋楽を迎えた。コロナ禍の中、関係者の心労はさぞかしと思う。

 1マスに1人の観客。半年前のにぎわいにはまだまだ遠い光景だったが、照ノ富士は相撲人気が復活した最近でも、こんな光景の中で相撲を取っていたのだな、と思ってテレビを見ていた。

 膝などのけがと内臓疾患で休場や不振が続き、2018年九州場所で三段目。19年春場所では序二段まで転落した。満員の土俵で賜杯も抱いた力士が、まだ観客がまばらな時間帯に土俵へ上がる。「にわか」ファンの「あの人、見たことある」などというささやきが耳に入ったかもしれない。

 照ノ富士の復活物語は多くの記事が流通しているので譲るとして、同じように大けがからの返り咲きを目指す千代の国の幕下優勝も、今場所の収穫だった。今は珍しいソップ型の男前。この数日間に、私の田舎の母をはじめ何人もの女性ファンが「良かったね」と喜ぶ声を聞いた。

 それにしても、初場所後に小欄で「番付が溶けていく」と書いてから半年。照ノ富士は大関経験者とはいえ、1年に2度、3場所で2度も、幕尻優勝が出た。どう考えたらいいのだろう。

 両横綱ともう1人の大関貴景勝が途中休場し、残された朝乃山だけに責任を負わせるのは気の毒というもの。特に白鵬の休場後、重圧が高まったことは「大関なので務めとか責任感を考え過ぎた」との言葉からも容易に分かる。

 ただ、土俵上には成長の跡とともに課題が表れた。成長の跡は前回書いた、攻めあぐんだ時の適応力などに見て取れたが、負けた相撲は以前から指摘されてきた不安が敗因になっている。

 照ノ富士戦は左上手を外から遠回りに取りに行き、さがりを何本も一緒につかむ形になったせいもあって、切られてしまった。右の差し手の返しとともに、勝負を分けたのは四つ身の完成度の違いだった。新大関として合格点を付けた八角理事長(元横綱北勝海)も、「照ノ富士に負けたところが全てじゃないかな。あの上手の取り方は駄目。大きい相手には緻密にいかなければ」と指摘する。

 やや正直過ぎるようにも見える。前へ前へと出るのは朝乃山の身上で、四つ身が不十分な体勢でも出ながら勝機をつかむ相撲が多いが、相手と正対していればともかく、御嶽海戦のように縦みつのあたりを取られて半身の形で出れば、相手の投げを手伝うようなもの。照強戦は左から踏み込んだところを、狙いすまして足を取られた。

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