「ああ、1000万円超!」 米男子ツアーはコロナ陽性?隔離の選手に高額補償金【スポーツコラム】

ゴルフジャーナリスト?舩越 園子

 新型コロナウイルス禍で休止状態にあったゴルフの米男子ツアーが6月11日から再開された。

 「われわれは米国の主要なスポーツの中で最初に動きだしたのだ」と、米PGAツアーのジェイ?モナハン会長は胸を張り、再開初戦となったチャールズ?シュワブチャレンジは「陽性者はゼロだった」と、誇らしげに報じられた。

 ◆増える感染者

 しかし、2戦目のRBCヘリテージでは、体調に異変を感じたニック?ワトニーが自らPCR検査を受け、同ツアー初の陽性判定を受けて大会を棄権した。

 続いて、3戦目のトラベラーズ選手権開幕前のPCR検査で、キャメロン?チャンプが2人目の陽性判定を受けて棄権。

 さらには、キャディー2人が陽性判定を受けたことで、グレーム?マクダウエル、ブルックス?ケプカと弟のチェイス?ケプカが陰性ながらも自主的に棄権。2戦目で優勝したばかりのウェブ?シンプソンは、家族の感染の知らせを聞き、棄権した。

 感染者が見る見る増えたこの状況に、最も激しく反応したのはモナハン会長だった。それは強い責任感の表れだったのだろう。

 が、どんなときも冷静沈着なモナハン会長が、珍しく声を荒らげた様子には、いら立ちと焦燥感がありありと見て取れて、少々驚かされた。

 だが、もっと驚かされたのは、モナハン会長が口にしたこんなフレーズだった。

 「感染防止のためのガイドラインに従わない者には厳しい処置をとる」

 ◆思わず「えっ?」

 その「厳しい処置」とは、陽性判定を受けて隔離された選手に給付することになっている補償給付金10万ドルを受け取る権利の喪失を意味していた。

 「ガイドラインに従わない者は10万ドルを得る資格は無いことにする」

 思わず「えっ?」と、驚かされたのだが、それは「補償給付金を受け取る権利がなくなる」ことへの驚きではなく、そんな補償給付金が設けられていたことと、その金額が10万ドルだったことへの驚きだった。

 陽性判定を受けたキャディーにも、1万ドルの補償給付金が設けられていたことは、さらなる驚きだった。

 10万ドルは、ほぼ1000万円超。1000万円といえば、私たち庶民にとっては大金である。

 米ゴルフ雑誌によれば、「平均的な米国人の2018年の年収は6万ドルをちょっとだけ上回る金額」だそうで、そこから見ても、10万ドルは、やっぱり大金だ。

 とはいえ、優勝して一気に1億円以上を稼ぐ米ツアー選手たちにとっては、10万ドルの価値は大したことはないと思われるかもしれない。

 だが、米ツアーのレギュラー大会の15位前後の賞金がほぼ1000万円であることを考えると、とりわけ苦戦気味の選手たちにとっての10万ドルは大きな金額と言っていい。

 ◆補償金は縮小

 その10万ドルを「受け取れないようにするぞ」と言い放ったモナハン会長の姿は、いつもの「らしさ」を欠いていた。

 「ガイドラインに従わなかったら」という部分には、基準さえ示されておらず、何がどうなったときに「従わなかった」ことになるのかも分からない。

 それで「10万ドルは無しだ」とは、少々横暴というか、乱暴というか。

 しかし、モナハン会長がなりふり構わず、言葉を荒らげたことは、それなりの効果を生んだようで、プレー後に街中のレストランやバーに繰り出す選手やキャディーの数は、格段に減り、体調に少しでも異変を感じたら、自主的にPCR検査を受けるようになり、感染防止上、役立っている様子である。

 そして、モナハン会長は、給付金の適用範囲を拡大する代わりに、7万5000ドルへ減額するなど、冷静沈着さと「らしさ」を取り戻し、目まぐるしく変わる現状に臨機応変に対応している。

 一流選手ばかりが集う米ツアーは、世界のゴルフ界の手本である。その会長には、やっぱり、どんなときも冷静でりんとした姿を、選手たちには、範となる言動を、見せてほしい。

 (時事通信社「金融財政ビジネス」2020年7月16日号より)

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